辛夷の咲くころ早春が好きだった龍太は、ある時出入りの庭師に頼み、辛夷の木を植えた。昭和50年代初め狐川の河川改修で、竹林の伐採を余儀なくされた。工事で殺風景になってしまったところに植栽したのだ。あれから40年近く経ち、堂々たる大木になった。...